厳冬期 北八ヶ岳「東天狗岳(2643m)・西天狗岳(2646m)」

地図からは尾根伝いでそれほど標高差はないルートだと読み取れる。ラッセルはあっても30分くらいで着くかな?という気持ちで樹林帯の深雪を再び漕ぎ出す。しかし一向にそれらしいポイントは見えてこない。看板が雪で埋もれて気づかずに通りすぎたのかなー?そういう思いが強くなってきた。時間を14時を大分過ぎている。渋の湯に戻るには微妙な時間帯になりつつある。第1展望はとっくに過ぎてて次のT字路が今に見え出すだろう。そういう期待を持ってラッセルを続けていくと、、、トレースが現れた。逆ルートから来たようでワカンを使って上がってきたらしい。だがあまりの深雪に第2展望への登頂をあきらめたのだろう。少し進むと期待を裏切って今頃第1展望が姿を現した。時間は14:30を少し過ぎている。第2展望からきっちり1時間かかった事になる。
昼食にチキンラーメンを食べる計画だったがそんな時間的余裕は当然なく、カロリーメイトを口に放り込んだ。再度ザック内で凍りついた水を振って溶かし飲む。ここからは標高が下がる一方なのでペースがあげられる。それを励みに下山を開始した。

第2展望付近からの赤岳、中岳、阿弥陀岳          Photo by STK Nikon D70

「終わりの見えない下山ルート」
最悪の場合は渋の湯手前の唐沢鉱泉に泊まってしまえばいいや、と地図を見て判断。深い雪を進みだす。新しいトレースがあるため先程までのラッセルと較べペースが格段に上がる。15分ほどでT字路に出くわし、北へ方向を変える。ここからは直線距離で1kmちょい、30分ちょいで唐沢鉱泉までいけるかな?そうすれば渋の湯まで戻れそうだ。
下りのキックステップは楽で楽しい。かかとから蹴りこむようにして進む。雪がクッションになるので膝への負担も小さい感じだ。唐沢鉱泉の建物が見えるのが今か今かと期待しつつグングンと降りていった。
・・・しかし、いけどもいけども建物は見えてこない。時間も16時を過ぎてしまった。。トレースに沿ってきたが道を誤ったか?そんな不安も頭をよぎる。時折地図を確認したところ方向や高度的には問題なさそうだ。なんで直線で1kmちょいのルートを1時間以上歩いても着かないのだろう?だんだん不安になり、実は唐沢鉱泉はとっくの昔につぶれてて確認できずに通過し、もう渋の湯の寸前まで来ているのではないか?勝手な仮説が頭の中を駆け巡りだした。体力的にも昼間のラッセルの影響でかなり消耗している。ときどき小休止を入れながら進む。

第1展望付近の樹氷          Photo by STK Nikon D70

2000mを切るあたりで、アイゼン不要と判断しはずした。足の1kgはザックの10kgに相当する疲労を招くという。自分のアイゼンは10本爪で両足765g程度。UDAのは12本爪で両足860g程度。はずすと確かに身軽になったのを実感した。日はかなり低くなってきている。遠くに水の流れる音が聞こえ、やっぱり渋の湯が近いのでは?そんな期待を抱かせられる。1900mをきり、もう一息!とがんばる。そしていよいよゴールが見えてきた。。。
To be Continued...

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