厳冬期 北八ヶ岳「東天狗岳(2643m)・西天狗岳(2646m)」

「洗礼2 終わり無き猛ラッセル」

西天狗下り斜面から見上げたところ          Photo by STK Nikon D70

西斜面も登ってきた東斜面同様、相当に雪が深い。下りなのでまだいいが、時折腰まで埋まり身動きが取れなくなる。雪崩でうまって動けない理由がわかるような気がした。深い雪の中に岩があるところもあり、慎重に降りる。そして降りきったところから再び樹林帯だ。どこが道かほとんどわからないほどの積雪。ただし好天のため第2展望と思われるピークが視認できるので道なき道を進んでいく。
このあたりで日光がさし背景が暗い箇所で空気がキラキラ光って見えるポイントが何度かあった。木に積もった雪の結晶が落ちてるのかなー、と思っていたが、このときはよくよく考えると風はなかった。後でわかったのだがおそらくこれはダイヤモンドダストだった可能性が高い。
-15℃〜-20℃位まで冷え込み、風がなく日光がさす場合が観測条件となるらしい。空気中の水蒸気が極低温のため雲になる前に結晶になり、様々な向きに光を反射しゆっくりキラキラ光りながら落ちていく現象だ。ラッセルに必死だったのでカメラに収める事すら忘れていたが、あの静かに煌く美しさは今でも鮮明に頭に焼き付いている。
第2展望付近にて携帯カメラで写真を撮るUDA          Photo by STK Nikon D70

西へ進んでいくと、道の方から自分達に合流してきたかのように木に結び付けられた赤いビニールが確認出来るようになった。道がわからずに進むよりはやはり道のほうが安心出来るが。。。しかしここはまさに「道があったところ」としか言えない。トレースゼロで常時腰までの深い雪。正にラッセル地獄である。風がなく天気がいいので不安感はないが、このラッセルは相当に体力を消耗する。先頭はつらいのでUDAと交代しつつ進んでいく。15分ちょいでいけると考えていたポイントまで1時間たっても着かない。1時半を過ぎ今日中に下山できるのか?という不安が頭をよぎるようになった。
そしてこの山行で最も深い雪の難所(ここのラッセルはUDAにまかせた)をなんとか乗り切るとようやく第2展望である。天気は快晴になっており赤岳〜阿弥陀岳の稜線がはっきり見える。水分を補給しようとしたがザックの外のアミノサプリは当然のごとくカチンカチンに凍りついている。ザックの中の水を飲もうとしたがこちらも凍りついている。飲みかけだったのでひたすら振って溶かした。多少疲労はあるが、時間の問題もあるため長居はせず次のポイント第1展望を目指す。

直射日光で溶けて出来たと思われるつらら          Photo by STK Nikon D70

 
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