厳冬期 北八ヶ岳「東天狗岳(2643m)・西天狗岳(2646m)」

「初陣」
同じ宿の登山客3人は既に出発していてトレースが明瞭に付いていた。およそ2時間でいける黒百合ヒュッテを目指し登攀開始。アイゼンをつけての登りはそれだけでなんとなく緊張感が高まる。しょっぱなからある程度の傾斜なので早速暑くなってきた。新雪のためアイゼンはほとんど刺さらず意味がない感じ。はずすのも大変なのでそのまま進む。
150mくらい上がるとUDAがさっそく暑さで服を脱ぐという。自分も同感だったのでインナーのグースダウンをたたみザックにしまう。これである程度快適になった。温度計は-7℃くらい。雪は相変わらず静かに降り続いている。手袋に落ちる雪はスキー場高所と同様に結晶の形が明確に分かる。乾燥雪なのでザックや手袋についてもくっつかず濡れる事はない。登攀再開したが100mも上がる前にUDAが暑すぎるらしく、下のアウターをはずした。確かにまだ樹林帯で風が全くなく冬山の厳しさは感じない。ただし稜線や山頂では相当寒いはず。気を緩めずに黒百合ヒュッテを目指した。

樹林帯を進む          Photo by STK Nikon D70

途中出会ったのは単独行の男、6人くらいのパーティー、2,3人のパーティー2組くらいでいずれも下山客だ。おそらく朝黒百合ヒュッテを出たと思われる。標高2300mを超えるあたりから少し風が吹いてきて温度はプロトレックの計測範囲外(-10℃以下)となっていた。UDAが少し寒くなってきたな、とつぶやく。道もそこそこ急で、意外と遠いなーと感じていると突然、黒百合ヒュッテが姿を現した。
予定の2時間より15分ほど早く黒百合ヒュッテ到着。小屋の前では20歳?くらいのグループ10人程度がそりで遊んでいた。山小屋入り口にかけてある温度計は-15℃。ま、そんなもんかなーという感じで一息いれる事にする。アイゼンを一旦はずし装備を再度整える。手袋をはずすとさすがに凍るように寒い。さっき脱いだグースダウンのインナーを再度着込む。UDAも先ほどはずしたアウター上下を再びまといアイゼンを締めなおす。いよいよ東天狗岳への登頂をめざす。

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